「STAGE」楽曲解説 歌詞編

こんにちは。坂口です。

「STAGE」楽曲解説、リファレンス編と作曲編に続いて、歌詞編です。これで最後です。

songwhip.com

まず、歌詞全文を載せておきます。

息を切らせて底へ立つ
耳を切らせて音を描く
鉄の味がするライムと
熱を差し出す暗い向こう

火が付く程
近づく鼓動
ひかりは刺す
痛みは増す

生き腐れの終着点を
契る為の執着へと
ポジションが墓と成り果てると
オーディションは破瓜を綯交ぜるよう

ステージは無常
既に噫無情
杞憂を暴く
理由を足掻く

錆び付いた衝動を
絡まった後悔を
否定してみせろよ
見殺してみせろよ

焼き切れる神経を
身を焦がす本能を
肯定してみせろよ
貫いてみせろよ

では、解説していきます。

 

息を切らせて底へ立つ

「底」はそこ、タイトルにもなってるステージの事ですね。なぜ「底」と表記しているかというと、僕にとってステージの上は決して幸せな場所ではないからです。緊張や恐怖、不安、プレッシャーに苦しめられながらステージに立ってる訳です。どん底です。まあ実際立ってみると楽しいんですが。そこに息を切らせて立っていると。

 

耳を切らせて音を描く

大きい音に曝されて耳を犠牲にしながら演奏している、みたいな意味ですかね。耳を切る、描くってのはゴッホのエピソードから着想を得てます。ゴッホの絵って一目見ただけで圧倒されるんですよね。あの絵の感じを音で表現したかった気持ちも少しありました。耳は大切にしましょうね。

 

鉄の味がするライムと

ライムってのは韻の方のライムです。「味がする」から続くので果物の方を連想しちゃいそうですが、なんか面白そうだったのでややこしくしてみました。血の味ってのは血を流すぐらい身を削って歌うぜ、みたいなニュアンスです。あとマイクに口ぶつけて出血した経験からも来てます…笑

 

熱を差し出す暗い向こう

ステージ上から見える景色の事ですね。観客の存在がいて熱くなるっていう。

 

火が付く程

近づく鼓動

ステージ上で観客やメンバーの鼓動を感じてこっちも熱くなるって感じです。ドラムを鼓動に例えていたりもします。バンドでライブする時ってドラムの存在をやけに近く感じるんですよね。僕だけでしょうか。

 

ひかりは刺す

痛みは増す

照明が眩しくて目に刺さるようで痛い(だがそれが美しい)って意味です。

 

生き腐れの終着点を

契る為の執着へと

生き腐れっていうのは本来の意味とちょっとずれてて、生きながらに腐っているみたいなニュアンスです。で、その終着点を契る、っていうのは、ややこしい言い回しですが、熱を持って生きるか、いっそ死ぬか、みたいなイメージです。じゃあその為の執着って何?って感じですけど、執着ってその中身次第でその人を生かしも殺しもするなあと思いまして、まあそういう感じです。

 

ポジションが墓と成り果てると

ポジションってのはそのまま自分の立場とか居る位置ですね。主役とか、バンドだったらフロントマンとか、ライブだったらセンターとか、観客からどう見えているのかとか、そういうのもひっくるめてポジションと言っています。でもライブが終わればその時の自分は死んで過去の話になってしまう訳で、また生まれ変わって心を新たに活動に向き合わなければならないのです。なのでポジションが墓と成り果てるのです。

 

オーディションは破瓜を綯交ぜるよう

そしてまたステージに立つためにオーディション(自分は実際にオーディションに臨む事はないですがそういう心意気で)に臨む訳です。破瓜ってのもそういう新鮮な心持ちで痛みに耐えながら行こうぜ!的なニュアンスです。

 

ステージは無常

前の話と繋がるんですが同じステージは二度とないって事ですね。

 

既に噫無情

ステージって無情…と言うか心細く感じる時があって、それを正直に歌詞に入れようと思いました。あと高校の音楽の授業で見せられたレ・ミゼラブルが心に残ってたので噫無情という形で入れました。

 

杞憂を暴く

僕って心配性で、ライブの前とかかなりナーバスになっちゃうんですよね。その杞憂を暴いてほしいっていう。

 

理由を足掻く

で、こんな思いをしながらなおステージに立っているのは何故なんだろう、と自問自答して、堂々巡りして、足掻いているというイメージです。

 

錆び付いた衝動を

絡まった後悔を

否定してみせろよ

見殺してみせろよ

何かをしたいって衝動って時間と共に薄れていくじゃないですか。だから過去のものになってしまった衝動を「錆び付いた衝動」と言っています。で、衝動のままに行動していく中で失ったものもあって、それで後悔もするだろうけど、それらを思い切って見殺して、否定して、また新しく衝動に駆られてやろうっていう。

 

焼き切れる神経を

身を焦がす本能を

肯定してみせろよ

貫いてみせろよ

神経が焼き切れるぐらいの熱量で表現して、本能的に直感的に目の前の事に身を焦がしていたいなっていう。肯定してみせろ、ってのは自分へのメッセージでもあります。自分は冷めてるところもあるので、もっと熱くありたいっていう。そして貫き通して燃え尽きたいなって感じです。


★以下、インスパイア元になった映画に関する解説です。ネタバレを含みます。

 

イメージや言葉選びの面では「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」をかなり意識してます。その映画に感化されて作った曲でもありますしね。

マインド的な部分で言えば、今いる場所を過去のものにして新たな舞台へ向かうという事が芯になってるのかなと。

自分を舞台少女に重ねて書いてたりもします。


「鉄の味がするライム」、最初は「鉄の味がする果実」だったんですよね。

鉄の味、血、食い殺す、みたいなイメージです。食うと言っても主役を食うみたいな言い回しあるじゃないですか。アレです。連想ゲームみたいですね。

ここはトマトを食べるシーンをイメージしてました。


「ひかりは刺す」は光は差すとかけてるんですが、文字通りひかりが刺してるシーンがあるじゃないですか。短剣を。それです。


「終着点」は列車の例えから、執着は作品内からそのまま持ってきてます。終着と執着で異口同音になるので面白いかなと思いまして。


「ポジションが墓と成り果てる」ってのは舞台は生き物という例えから来てます。ポジションゼロ=棺みたいな画が度々出てくるじゃないですか。今の役(ポジション)も演じきれば死んで、また生まれ変わって次の舞台に立つ、みたいな解釈です。


「オーディションは破瓜を綯交ぜるよう」の破瓜は16歳(キャラクターたちの年齢)って意味もあります。ダブルミーニングですね。まあ劇場版だとみんな高3になってるので1つずれてるんですけどね。レヴュスタが元ネタでそのワードを使うのはどうかと思いましたがまあ例えだからいいかなと…。あとポジションとオーディションで韻を踏めてよかったです。


「ステージは無常」ってのはTVシリーズと劇場版通した大場ななのエピソードを通じて改めて大事にしたいと思った価値観です。


「暴く」ってワードは魂のレヴューから着想を得ていたりします。


「足掻く」はキャラクターみんなの事です。足掻く姿って美しいな、と思いつつ、他人事にしちゃいけないなと思いまして。


「見殺してみせろよ」は正直なところ「殺してみせろよ」を自分で叫びたくて入れました。一番アツいシーンですからね。


「貫いてみせろよ」は「貫いてみせなさいよ」から来てます。核となる台詞ですからね。これは入れたかった。この部分、ライブでは「貫いてみせなさいよ!あんたのキラめきで!」って叫んでます。

 

 

はい。

「STAGE」楽曲解説は以上になります。

お読みいただきありがとうございました。

では。